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お役立ちコラム

【入門編/ 9個で解説/ キャリアパス・資格】AWSとは?

【入門編/ 9個で解説/ キャリアパス・資格】AWSとは?

概略・役割

AWSは、Amazonが提供する世界最大のクラウドサービスです。ITインフラからAI、データ分析まで幅広く対応し、多くの企業に導入されています。2010年半ばから後半に比べたら、現在の案件の過熱は落ち着きましたが、IaaSが普及したことで、AWSを始めとしたクラウドインフラを基本知識として求められるまで昇華された気がしています。本記事では、これからAWSやクラウドインフラの勉強を始める方に向け、主にエンタープライズ領域で使われるAWSの特徴・活用事例・職種・資格などを紹介します。

AWSとは?

AWSは、2006年のサービス開始からIaaSの先駆者として登場以来、200以上のクラウドサービスを展開。ITインフラの構築、アプリケーションのホスティング、データの保存・分析、AI・機械学習の基盤まで、幅広いニーズに対応しています。特にエンタープライズ領域においては、オンプレミスの代替としてだけでなく、柔軟性・可用性・コスト最適化の観点からも注目され、DXを推進する中核技術の1つとなっています。

参照 AWS公式 製品ページ(概要)

AWSの主分類と業界での役割

主な特徴(業界での活用と技術特性)

AWSは業種を問わず、さまざまな形で導入が進んでいます。ここでは代表的な導入事例とその技術的背景を紹介します。

Webアプリ・ECサイト運用

活用背景
キャンペーンや季節変動によってアクセスが急増するWebサイトやECサイトでは、サーバーのスケーラビリティが非常に重要です。瞬間的なトラフィックの増加に対応できなければ、ユーザー離脱や売上機会の損失につながります。

活用例
CloudFront(CDN)によって世界中のユーザーへの配信速度を最適化し、ELB(Elastic Load Balancing)によってトラフィックを複数のサーバーへ分散。さらに、Lambdaを用いたサーバーレス処理により、トラフィックの大小に柔軟に対応するインフラを構築できます。

IoT・製造業

活用背景
製造現場では、センサーや機械から取得されるリアルタイムデータの収集と処理が重要です。生産性向上や故障予測、安全性向上を目的としたIoTの活用が進む中、クラウドによる柔軟な対応力が求められています。

活用例
AWS IoT Coreでセンサーデータを受信し、Lambdaで即時に処理を実行。リアルタイムでのアラートや機械制御のトリガーを可能にし、オンプレミスでは実現しづらかった高度な監視・分析・自動化を実現しています。Edgeコンピューティングとの組み合わせも可能です。

データ分析・機械学習

活用背景
ビジネスにおける意思決定のスピードと精度が求められる今、膨大なデータを高速かつ柔軟に扱える基盤が必要とされています。従来のオンプレミスでは難しかった大規模分析や機械学習モデルの運用が、クラウド上では現実的になります。

活用例
RedshiftによるDWH(データウェアハウス)を構築し、複雑なクエリも高速で処理。SageMakerを活用することで、データ準備からモデル学習、デプロイ、推論まで一連のMLワークフローをクラウド上で完結できます。スケーラブルで自動化された分析環境を実現します。

参照 Cloudvisor AWS ユースケース – ウェブアプリからビッグデータまで

AWSサービスの4つの主分類と役割

AWSには200以上のサービスが存在し、その全体像を把握するのは簡単ではありません。ここではAWSの主要なサービスを4つの目的別に分類し、それぞれの役割と代表的な機能を簡潔に整理します。

分類 カテゴリ 主なサービス 概要
インフラ構築(基盤)



コンピュート Amazon EC2 / Lambda / Fargate 仮想サーバーやコンテナ、サーバーレス環境を提供
オーケストレーション Amazon ECS / EKS 複数のコンテナを自動で展開・管理するための仕組みを提供します。
ストレージ Amazon S3 / EBS / EFS オブジェクト・ブロック・ファイルの各種ストレージ
ネットワーク Amazon VPC / CloudFront / Route 53 / ELB  仮想ネットワーク、CDN、DNS構成が可能
データ管理と活用 データベース Amazon RDS / DynamoDB / Aurora リレーショナル型・NoSQL型のDBサービスを提供
分析・BI Redshift / Athena / Glue / QuickSight DWH構築、クエリ実行、ETL、BIダッシュボード生成
アプリ開発・運用支援 開発・デプロイ CodePipeline / CodeBuild / CodeDeploy CI/CDパイプラインを構築し、継続的なデリバリーを実現
モニタリング・可視化 CloudWatch / X-Ray / AWS Config ログ管理、トレース分析、リソース構成の可視化が可能
セキュリティ・ガバナンス アクセス管理 IAM / Organizations / Control Tower ユーザー管理、アカウント構成、組織単位での統制が可能
セキュリティ対策 AWS WAF / Shield / KMS / GuardDuty / CloudTrail ファイアウォール、DDoS防御、暗号化、脅威のリアルタイム検出

参照 AWS公式 製品カテゴリ一覧
   Qiita AWSサービス 一覧

競合ソリューション

AWSはパブリッククラウドの先駆者として、今でもトップシェアに位置していますが、Microsoft・Google・Oracleといった競合サービスも多く利用されています。ここでは、AWS以外のクラウドサービスとの比較を行います。

比較項目 AWS Microsoft Azure Google Cloud Platform Oracle Cloud
特徴 幅広いサービスと高い拡張性 エンタープライズ向けに強い AI・データ分析に強み Oracle DBとの高い親和性
シェア 世界最大のクラウドシェアを保持 世界シェア2位(特に企業向けの導入が多い) 技術者コミュニティに強い支持を受け成長中 ニッチだが安定したDB利用企業に強み
顧客層 スタートアップ〜大企業 企業系が多い AI・開発者寄り 既存Oracle顧客
業界・業種 全業種(汎用性高) 金融・製造・政府系が多い ゲーム・小売・IT企業など 製造・金融・官公庁(Oracle DB中心)
主な用途 Webサービス・SaaS・IoT 社内業務基盤・ERP・認証連携 AI分析・機械学習・アプリ開発 ERP・データベース中心の業務基盤構築
強み 幅広いサービス群と安定性 Microsoft製品との連携 ビッグデータ・AI ERP・DB統合
弱み 複雑で学習コストが高い 柔軟性に欠ける場面がある エンタープライズサポートがやや弱い サービスの選択肢が少なめ

参照 DCRクラウド導入支援コラム オラクルクラウド(OCI)とAWSを徹底比較!選び方のポイント解説
   システムエグゼ OCIとAWSを比較(system-exe.co.jp)

職種とキャリアパス

クラウドエンジニア(インフラ設計・構築)

クラウドエンジニアはAWSを基盤としたシステムの設計・構築・運用を担う職種です。
EC2やVPC、S3、CloudWatch、CloudFormationなどのサービスを中心で扱います。

主要なスキル
サーバー・ネットワークの基礎知識
インフラ構成管理(IaC)
モニタリング・障害対応

キャリアパス
初級:AWSインフラ運用担当
中級:構築エンジニア → クラウドアーキテクト
上級:AWSソリューションアーキテクト、マルチクラウド導入支援

参考 レバテックキャリア クラウドエンジニアのキャリアパスは?具体例や考え方をチェック!

DevOpsエンジニア(自動化・効率化)

DevOpsエンジニアは、開発と運用の連携を促進し、CI/CDやIaCを駆使してデリバリーを高速化することを担当します。
CodePipeline、CodeBuild、Terraform、Ansibleなどを使用などを活用します。

主要スキル
CI/CDの構築経験
Git・Docker・Kubernetesの運用
インフラのコード化(IaC)

キャリアパス
初級:CI/CDの運用担当
中級:DevOpsスペシャリスト → SRE(Site Reliability Engineer)
上級:DevOpsコンサルタント、テックリード

参考 AWS公式 AWS Certified DevOps Engineer – Professional 認定
   レバテックキャリア DevOpsエンジニアとは?年収や将来性、おすすめの資格も紹介

セキュリティエンジニア(クラウドセキュリティ設計)

クラウドセキュリティエンジニアは、安全な環境を設計・監視を担う職種です。セキュリティガバナンスや監査対応も求められます。
AWSであれば、IAM、KMS、WAF、GuardDutyなどを活用します

主なスキル
セキュリティベストプラクティス
認証・認可(IAMポリシー設計)
インシデントレスポンス対応

キャリアパス
初級:AWSセキュリティ構成補助
中級:セキュリティ設計 → セキュリティアーキテクト
上級:クラウドセキュリティリーダー、CISO補佐

参考 SHIFT Top AWS Ambassadorsに訊くセキュリティ。運用体制、万全を期すため他ツールは必要?など
   Levtech Career セキュリティエンジニアのキャリアパス   

データエンジニア/MLエンジニア(ビッグデータ・機械学習)

データエンジニアは、データ分析基盤・機械学習モデルを構築を担当する職種です。データパイプライン整備やモデル運用も含みます。
AWSであれば、Athena、Glue、Redshift、SageMakerなどを活用します。

主なスキル
SQL・ETL処理
Python、PySpark
MLアルゴリズム・モデル運用

キャリアパス
初級:データ可視化・抽出担当
中級:ETL/分析基盤構築 → MLエンジニア
上級:データアーキテクト、AIソリューション責任者

参考 AWS公式 AWS Certified Data Engineer – Associate 認定
   coursera 人工知能(AI)キャリアロードマップ:仕事とレベルガイド
   mijica AWSエンジニアが次に挑戦すべき技術とスキル

AWSの歴史

起源(2002〜2006)

Amazon社内のインフラ再構築から派生し、2006年にS3とEC2を公開。世界初の商用パブリッククラウドとして、インフラのAPI提供という革新をもたらしました。当時はオンプレサーバー上での仮想化が主流でしたが、その発展形とした、初のパブリッククラウドとして誕生。開発者がサーバーをコードで操作できる時代の到来しました。

初期(2006〜2010)

従量課金と柔軟性を武器に、スタートアップが続々導入。NetflixやDropboxなどが初期採用し、「自前でインフラを持たない」文化が広まります。当時はエンジニア主導での利用拡大が特徴的でした。また2007年ごろにはIaaSという言葉が注目され、PaaS・SaaSなどと分類わけもされたのも、この時期です。

中期(2011〜2015)

東京リージョン開設を機に国内普及が加速。RDSやIAMなど基盤系も整備され、大企業や公共機関が本格採用。基幹システムのクラウド移行が進展します。クラウドがミッションクリティカル領域へ浸透しました。

後期(2016〜2020)

Lambda、SageMaker、GreengrassなどでAI・IoT・サーバーレスが拡充。1年で100以上の新サービスが登場する高速成長期でした。クラウドは単なるインフラから、開発とビジネス革新のプラットフォームへ進化していきます。

現代(2021〜)

OutpostsやBedrockでハイブリッド・生成AIに対応。サステナビリティや量子計算にも参入し、多様化・高機能化したクラウドの未来を牽引しています。AWSはあらゆる業種の技術基盤の中核となっています。

参照 AWS公式ブログ: CloudFormationの歴史と今後のロードマップ
   NRI Netcom 歴史・年表でみるAWS全サービス一覧 -アナウンス日、General Availability(GA)、AWSサービス概要のまとめ-
   DevelopersIO AWSの12年のまとめ

資格と学習方法

主な資格

AWS Certified Cloud Practitioner
クラウドの基礎知識を問う入門資格。技術職でない人にもおすすめで、全体像の把握に最適。IT未経験者でも取得しやすいレベルです。

AWS Certified Solutions Architect – Associate / Professional
アーキテクチャ設計力を問う中上級資格。セキュリティやコスト設計も含めた総合力が試されます。実務に即した知識を証明できます。

AWS Certified DevOps Engineer
CI/CDや運用自動化などDevOps系スキルを測定。開発と運用の両面を理解していることが前提です。中級以上の実務経験がある方向け。

AWS Certified Security – Specialty
IAMやWAFなどAWSセキュリティ機能の深い理解を問う。設計・監査・運用に関わる技術者に最適。セキュリティ担当者やCISO補佐にも有用です。

出典 AWS公式 AWS 認定

学習方法

AWS Skill Builder や Black Belt
AWS公式が提供する無料〜有料の学習サイト。分野別・レベル別に整理され、Black Beltはスライド資料も豊富です。初学者でも安心して使用できます。

出典 AWS公式 AWS Skill Builder
   AWS サービス別資料

Udemy
世界最大級の有償オンライン学習プラットフォーム。現役・元AWSエンジニアなどによる講師でのAWS認定資格対策や、実環境での構築・デプロイ演習が多いなど実務向けハンズオンに強みがあります。

クライアントに求められる人物像

AWSに関わる人材としてクライアンから求められる人物像を、技術・業務・マインドの3つの観点から解説します。AWSを活用したプロジェクトは多岐にわたるため、単なる技術力だけでなく「プロジェクト推進力」「業務理解力」「柔軟性」などの総合力が求められます。

技術面:基礎スキルと実務経験

AWSの主要サービスを理解し、IaCやCI/CDの活用経験があることが重要です。
セキュリティ・コスト・可用性を考慮した設計ができる人材が求められます。

業務面:目的理解と全体最適

単なる技術者ではなく、クライアントの業務要件や制約を理解できる視点が重要です。
システム全体を俯瞰し、現実的な提案・設計ができる力が評価されます。

マインド面:自律性と学習意欲

受け身ではなく、積極的に提案・改善ができる姿勢が求められます。
AWSのアップデートに対応できる柔軟性と継続的な学習意欲も重視されます。

参考 AWSキャリア採用 ソリューションアーキテクト
   SHIFT 「AWSといえばSHIFT」を目指す。全AWS資格をもつインフラアーキテクトの新たなる挑戦
   

まとめ

AWSは、柔軟性・可用性・拡張性を備えたクラウド基盤として、あらゆる業界・業種で活用が進んでいます。業務用途に応じたサービスの選択や、職種ごとの専門スキルも重要です。今後のDX推進やキャリア形成において、AWSは大変優良なものとなるでしょう。


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最後までご拝読くださりありがとうございました。

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