【入門編/ 9個で解説】セキュリティとは

概略

ITセキュリティとは何か?
セキュリティとは、個人や組織の情報や資産を保護し、安全を確保するための取り組みです。特にIT分野では、システムやネットワークを脅威から守り、データの機密性・完全性・可用性を維持することが求められます。サイバー攻撃の増加やクラウド利用の拡大により、ITセキュリティの重要性はますます高まっています。本記事では、ITセキュリティの基本とその役割について解説します。
セキュリティの分類

ネットワークセキュリティ
ネットワークの不正アクセスや攻撃を防ぐ対策。ファイアウォール、IDS/IPS、VPNを活用し、ゼロトラストモデルの導入が進んでいます。
アプリケーションセキュリティ
ソフトウェアの脆弱性を防ぐ対策。SQLインジェクションやXSSを防ぐため、WAFやセキュアコーディングを実施します。
データセキュリティ
データ漏洩や改ざん防止のため、暗号化やアクセス制御を行います。GDPRなどの法規制対応も重要です。
エンドポイントセキュリティ
PCやスマホを保護し、ウイルス感染や不正利用を防ぎます。アンチウイルスや端末の暗号化を活用します。
クラウドセキュリティ
クラウド環境のセキュリティ強化。IAMを適切に設定し、不正アクセスやデータ漏洩を防ぎます。
アイデンティティ管理とアクセス制御(IAM)
適切なアクセス権限を管理し、不正アクセスを防止。SSOやMFAを活用し、認証・権限管理を強化します。
インシデント対応とリスク管理
サイバー攻撃や障害時に迅速対応し、被害を最小限に抑える。計画策定やフォレンジック分析を行います。
職種ごとの役割と違い

ITセキュリティに関わる職種は多岐にわたり、それぞれ異なる視点と専門性を持っています。企業のセキュリティを確保するためには、戦略を策定する役割、技術的な防御策を講じる役割、インフラの安全性を維持する役割、そして日々の監視とインシデント対応を担う役割が必要です。今回はセキュリティコンサルタント、セキュリティエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアの4つの職種の違いを解説します。

ITセキュリティの歴史

起源
ITセキュリティは、当初コンピュータの物理的な保護から始まりました。初期のコンピュータは軍事・政府機関で使用され、ネットワーク攻撃の概念はほぼありませんでしたが、1980年代からはコンピューターウイルスが登場。以降、現在でもITセキュリティは強く意識され続けています。
初期の発展

ITセキュリティは、技術の進化と脅威の変化に対応しながら発展してきました。初期は物理的な保護が中心でしたが、1960年代からユーザー認証やアクセス制御が導入され、1980年代にはPCの普及とともにウイルスが登場しました。1990年代にはインターネットの普及によりネットワーク攻撃が増加し、ファイアウォールや侵入検知システムが開発されました。脅威が高度化するにつれ、防御技術も進化し続けています。
中期の発展

2000年代以降、サイバー攻撃は高度化し、ターゲット型攻撃やゼロデイ攻撃が登場。ワームや産業システムを狙うマルウェアが拡大し、企業や国家レベルのセキュリティリスクが増加しました。この時期には、現行のファイヤーウォールや対策層ソフトだけでは防げない攻撃が増え、次世代ファイアウォールやゼロデイ対策(修正パッチ対応)、クラウド・エンドポイントセキュリティが発展しました。攻撃者の技術力向上やクラウド・モバイルの普及により、防御手法も進化を続けています。
後期の発展

2017年以降、サイバー攻撃はさらに巧妙化し、「WannaCry」や「NotPetya」などのランサムウェアが企業や病院を標的にしました。2020年代にはリモートワークの普及に伴い、VPNやクラウド環境のセキュリティが重要視されるようになりました。AI技術を活用した異常検知が進化し、リアルタイムでの脅威対策が可能となりました。これに伴い、ゼロトラストモデルの導入やランサムウェア対策、IoTセキュリティの強化が進められています。
現在のITセキュリティ

現在のサイバーセキュリティは、従来の境界型防御では対応が困難となり、ゼロトラストの考え方が主流になっています。AIを活用した異常検知技術が発展し、自動化された攻撃への迅速な対応が求められています。リモートワークの増加やクラウド環境の拡大により、セキュリティ戦略も大きく変化しました。また、IoT機器の普及により、サイバー攻撃と物理的セキュリティが統合される必要があり、新たなリスクへの対応が急務となっています。
参照 データレスキューセンター コンピュータウイルスの歴史
NECソリューションイノベーターサイバー攻撃手法の最新事例(1)ランサムウェアの最新事例
クライアントが求める人物像

企業の存続に関わるセキュリティリスクへの対応は、今や必須です。クライアントは、確実なリスク対策と安心を提供できるセキュリティのプロフェッショナルを求めています。クライアントが求める人物像は以下の通りです。
高度な技術力と問題解決能力
幅広い専門知識(ネットワーク、クラウド、暗号化、脆弱性管理、プログラミング)
迅速な対応力(インシデント発生時の即応と原因分析)
最適なセキュリティ施策の提案
コミュニケーションと責任感
技術を分かりやすく説明する力(経営層や非技術者との連携)
チームワークと調整力(異なる部署間での円滑な連携)
機密情報管理・法令遵守の徹底
継続的な学習と適応力
最新の脅威や技術トレンドを把握(AI、ゼロトラスト、クラウドセキュリティ)
資格取得やスキル向上への意欲(CISSP、クラウドセキュリティ資格など)
新たな攻撃手法への対応力
使用されるソフトウェアとフレームワーク7選

AWS Security Hub
AWS Security Hubは、クラウド環境におけるセキュリティリスクを一元管理するサービスです。脆弱性スキャンやコンプライアンスチェックを自動化し、セキュリティアラートを統合・可視化します。AWSの他サービス(GuardDuty、Inspector、IAM Access Analyzer)と連携し、継続的なセキュリティ監視を実現します。
Splunk
Splunkは、ログデータを収集・分析し、システムの異常検知やセキュリティインシデントの調査を支援する統合プラットフォームです。SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)機能を備え、リアルタイム監視や高度な分析が可能です。企業のSOC(セキュリティ運用センター)での利用が多く、可視化や自動対応を強化できます。
Palo Alto Networks
Palo Alto Networksは、次世代ファイアウォール(NGFW)として、従来のパケットフィルタリングに加え、アプリケーション制御や脅威防御を統合した高度なセキュリティ機能を提供します。AIを活用した脅威インテリジェンス「WildFire」や、ゼロトラストを実現する「Prisma Access」との連携により、包括的な防御が可能です。
CrowdStrike
CrowdStrikeは、クラウドネイティブなエンドポイントセキュリティソリューションであり、AIを活用した脅威検知とリアルタイム対応を特徴とします。エンドポイントの動作を監視し、不審な挙動を即座にブロックするEDR(Endpoint Detection and Response)機能を備えています。ランサムウェア対策やゼロデイ攻撃への防御にも優れています。
Okta
Oktaは、アイデンティティ管理とゼロトラスト認証を実現するクラウドベースのIAM(Identity and Access Management)ソリューションです。SSO(シングルサインオン)やMFA(多要素認証)を提供し、認証プロセスのセキュリティを強化します。従業員・顧客・パートナーなどの会社全体でのアクセス管理を統一することで、企業全体の安全性を向上させます。
ゼロトラストセキュリティモデル
ゼロトラストセキュリティモデルは、内部・外部を問わず全てのアクセスを検証し、最小権限の原則に基づく認証・認可を徹底するセキュリティアプローチです。従来の境界防御型セキュリティが通用しなくなったクラウド環境やリモートワークの普及により、急速に導入が進んでいます。OktaなどのIAMソリューションや、Zscaler・Palo Alto NetworksのSASEソリューションと組み合わせることで、強固なセキュリティを実現できます。
ISO/IEC 27001:2022およびISO/IEC 27002:2022
ISO/IEC 27001:2022は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であり、組織の情報資産を適切に管理・保護するためのフレームワークを提供します。ISO/IEC 27002:2022は、具体的なセキュリティ管理策を示す補助規格であり、リスクアセスメントの指針となります。近年のサイバー脅威の増加に伴い、企業のコンプライアンス強化や認証取得が重要視されています。
代表的な資格7選

情報処理安全確保支援士(SC)
日本の国家資格で、情報セキュリティの専門知識を持つ人材を認定します。セキュリティ対策の設計・運用・監査が主な対象です。企業の情報システム部門やセキュリティエンジニアに求められる資格です。
CompTIA Security+
セキュリティの基礎から中級レベルまでをカバーする国際的な認定資格です。ネットワークセキュリティ、リスク管理、暗号化など幅広い知識が問われます。IT初心者がセキュリティ分野に進むための第一歩として人気です。
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)
情報セキュリティのプロフェッショナル向け国際資格で、8つのドメイン(アクセス制御、暗号、リスク管理など)が評価されます。実務経験が必要で、企業のセキュリティ戦略を担う管理職にも適しています。
AWS Certified Security – Specialty
AWSのクラウド環境に特化したセキュリティ専門資格です。クラウド上のデータ保護、アクセス管理、インシデント対応など、AWS環境のセキュリティ設計・運用能力を証明します。クラウドエンジニアやセキュリティ担当者に有用です。
Microsoft Certified: Azure Security Engineer Associate
Microsoft Azure環境のセキュリティ管理に関する認定資格です。アクセス制御、ネットワークセキュリティ、脆弱性管理など、Azureのセキュリティ対策を深く学べます。Azureを活用する企業のセキュリティ担当者向けです。
Certified Information Security Manager (CISM)
セキュリティ管理者向けの国際資格で、リスク管理やガバナンス、インシデント対応のスキルを証明します。技術的な知識よりも、組織全体のセキュリティ戦略を策定・運用する管理職向けの資格です。
Certified Cloud Security Professional (CCSP)
クラウドセキュリティに特化した国際資格で、クラウド環境におけるデータ保護やコンプライアンスを重視します。CISSPを提供する(ISC)²が認定しており、クラウドエンジニアやセキュリティアーキテクト向けの資格です。
トレンドと未来の展望

新技術の影響と業界への適応
ゼロトラストの普及
社内外を問わず全アクセスを検証するゼロトラストモデルが普及中。リモートワークやクラウド環境の増加により、従来の境界防御型セキュリティが限界を迎えています。
AIによる脅威検知と防御
AIを活用したリアルタイム監視が進化し、異常な動きを自動検知・防御する仕組みが強化されています。サイバー攻撃もAIを活用しており、防御側も高度な対策が必要です。
クラウドセキュリティの強化
クラウド利用の拡大により、クラウド環境専用のセキュリティ対策が不可欠。ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)やクラウドセキュリティ管理(CSPM)などが導入されています。
今後の展望
量子暗号とポスト量子暗号(PQC)の発展
量子コンピュータの進化により、既存の暗号技術が破られるリスクが高まっています。これに対抗するポスト量子暗号(PQC)が開発・標準化されつつあります。
サプライチェーンセキュリティの強化
取引先やクラウドプロバイダーを狙った攻撃が増加中。企業は、サードパーティリスク管理(TPRM)を強化し、サプライチェーン全体のセキュリティを確保する必要があります。
自律型セキュリティの台頭
AIや機械学習を活用した自動防御システムが普及し、脅威をリアルタイムで検知・対策する仕組みが進化しています。
まとめ

ITセキュリティに関連する職種は、それぞれ異なる役割を持ちながら連携し、組織
セキュリティを支えています。新しい技術やトレンドに対応し続けるためには、スキルの向上と学習が不可欠です。未来のセキュリティ分野をリードするために、専門知識と実践力を兼ね備えた人材が求められています。
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