Loading...
0%

COLUMN

お役立ちコラム

【入門編/ 9個で解説】インフラ・クラウドとは?

【入門編/ 9個で解説】インフラ・クラウドとは?


概略、役割

インフラエンジニアとは何か?

ITインフラは、ITシステムを構築する上で基盤(家でいう基礎)となる部分です。
インフラエンジニアと呼ばれる人たちは、大きく分けてサーバーとネットワークの2領域に別れます。IT基盤となるサーバー、システム感をつなぐネットワークの設計構築を担う職種です。現代のデジタル社会では、IT業界に関わらず、信頼性の高いインフラと効率的なクラウド運用が事業の成功に直結するため、企業にとって欠かせない存在です。今回は、インフラの中でも、主にサーバー領域で活躍するサーバーエンジニアを中心にして解説していきます。ネットワークは別途取り上げる予定です。

インフラエンジニアの分類

インフラエンジニアの中でもサーバー・基盤と呼ばれる領域に関わる人たちは、以下の3つに分類されます。

オンプレミスインフラエンジニア

オンプレミスに携わるインフラエンジニアは、基本的に自社が所有するリソースを用います。企業内に設置された物理的なサーバールームやデータセンターの運用管理を専門に行う職種であり、オンプレミス環境のIT基盤の信頼性、効率性、セキュリティを確保する役割を担っています。この職種では、クラウドにはない、物理的なインフラストラクチャの設計、構築、維持管理を中心とした幅広い業務を行います。

クラウドインフラエンジニア

クラウドに携わるインフラエンジニアは、基本的に他社が提供しているクラウドプラットフォームを用いてシステム設計と運用に特化した職種です。このエンジニアは、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などの主要なクラウドサービスを活用して、効率的かつスケーラブルなシステムを構築します。特に、クラウドネイティブアーキテクチャを取り入れることで、最新の技術を駆使した柔軟なシステム設計を実現します。
また昨今ではクラウドの柔軟性・オンプレの安定性を最適に組み合わせた環境を設計できるハイブリットなエンジニアのニ-ズも高まっています。

システム運用エンジニア

システム運用エンジニアは、構築されたITシステムやインフラストラクチャを維持・運用し、安定したサービス提供を支える職種です。日々のシステム監視、トラブルシューティング、定期的なメンテナンス、セキュリティ更新などの業務を担当します。特に、問題発生時の迅速な対応や、システム全体のパフォーマンス最適化が求められます。また、運用を効率化するためのスクリプト作成や自動化ツールの導入にも携わることが多く、システム全体の安定稼働を保証する重要な役割を果たします。

職種ごとの役割と違い

一言にインフラとまとめても、担当する領域や役割が異なります。クラウドインフラの登場により、オンプレインフラとの役割の違いも生まれています。ここでは、ITアーキテクトを含めた、インフラに関わる4つの職種について比較していきましょう。

インフラ・クラウドの歴史

起源

インフラ・クラウドエンジニアリングの発展は、1960年代のメインフレームコンピューター時代にまで遡ることができます。この時期、コンピューターは大型で高価な機器であり、専任の技術者が物理的な基盤を管理し、運用していました。メインフレームは企業のバックエンドシステムの中心であり、データ処理のために高い信頼性と安定性が求められていました。このため、インフラの設計や運用は非常に重要な役割を果たしていました。

初期の発展

1990年代に入ると、インターネットの普及が加速し、ネットワークエンジニアリングの重要性が高まりました。企業はインターネットを利用してビジネスを展開するようになり、ネットワークの設計や管理が求められるようになりました。この頃、仮想化技術が登場し、物理サーバーのリソースを効率的に分割・管理できるようになりました。これにより、インフラエンジニアの役割は単なるハードウェアの管理から、より複雑なシステムの設計や運用へと進化しました。

中期の発展

2000年代には、Amazon Web Services (AWS) や Microsoft Azure などのクラウドプラットフォームが登場し、クラウドエンジニアリングの需要が急速に拡大しました。これらのプラットフォームは、企業が自社のデータセンターを運営することなく、必要なリソースをオンデマンドで利用できる環境を提供しました。これにより、コスト削減やスケーラビリティの向上が実現し、企業はより迅速にビジネスを展開できるようになりました。この時期、DevOpsの概念も広まり、開発と運用の連携が強化されました。

後期の発展

2020年代に入ると、マイクロサービスアーキテクチャやコンテナ技術(DockerやKubernetesなど)が普及し、インフラ・クラウドエンジニアがより高度なスキルを求められるようになりました。これにより、アプリケーションの開発から運用までのライフサイクルが短縮され、より柔軟で効率的な開発プロセスが可能となりました。また、マルチクラウド戦略やサーバーレスコンピューティングの導入も進み、企業はより多様な選択肢を持つようになりました。

現在のクラウド

現在、企業はオンプレミスからクラウドへの移行を進めるとともに、ハイブリッドクラウドの導入が主流となっています。この環境では、オンプレミスとクラウドのリソースを組み合わせて活用することで、柔軟性とコスト効果を最大化しています。また、ゼロトラストセキュリティモデルやエッジコンピューティングといった新しいトレンドも進行中であり、これによりセキュリティの強化やリアルタイムデータ処理が求められています。インフラ・クラウドエンジニアは、これらの変化に対応するため、常に新しい技術や手法を学び続ける必要があります。このように、インフラ・クラウドエンジニアリングは常に進化を続けており、企業のデジタルトランスフォーメーションを支える重要な役割を担っています。

クライアントが求める人物像

企業が求めるインフラエンジニア像は次の通りです。

技術スキル

サーバー、ネットワーク、クラウドプラットフォームに精通していることは、現代のIT環境において非常に重要です。具体的には、サーバーの構築や管理、ネットワークの設計と運用、クラウドサービスの導入や最適化に関する深い知識が求められます。これにより、システムのパフォーマンスを最大化し、安定した運用を実現することが可能です。また、セキュリティ対策についても理解を深め、リスクを最小限に抑えることができるスキルが重要です。

問題解決能力

障害対応やシステムトラブルの迅速な解決能力は、IT業界において非常に価値のあるスキルです。問題が発生した際に冷静に状況を分析し、根本原因を特定する能力が求められます。また、迅速に対応するための手順を確立し、トラブルシューティングのプロセスを効率化することができれば、業務の継続性を確保し、顧客満足度を向上させることができます。さらに、過去の事例をもとに再発防止策を講じる姿勢も重要です。

コミュニケーションスキル

他部署や顧客と円滑に連携できる能力は、チームワークやプロジェクトの成功に不可欠です。技術的な内容を非技術者にわかりやすく説明する能力、異なる意見を尊重しつつ合意形成を図る力、そして定期的な情報共有を通じて信頼関係を築く姿勢が求められます。これにより、プロジェクトの進行がスムーズになり、より良い成果を生むことができます。さまざまなバックグラウンドを持つ人々と協力することで、新たな視点やアイデアを取り入れる柔軟性も重要です。

学習意欲

新技術の習得に積極的であることは、技術の進化速度が速い現代において必須の姿勢です。クラウドインフラが普及して以降、インフラ側でも技術発展のスピードが増えています。自己学習や研修、セミナーへの参加を通じて常に最新の情報をキャッチアップし、実務に活かす能力が、より求められるようになりました。新たなツールや技術が登場する中で、柔軟に対応し、自己のスキルを向上させる意欲が重要です。これにより、組織の成長にも寄与し、自身のキャリアの発展にもつながります。

使用されるソフトウェアとフレームワーク7選

3大クラウド(AWS / Azure / GCP)

現代のインフラエンジニアにとって、AWS、Azure、GCPのいずれか1つは知識を持っておくことが必須です。これらのクラウドサービスは、オンプレミス環境と比較してスケーラビリティやコスト効率が高く、特にAWSはクラウド市場で圧倒的なシェアを持っています。一方、AzureはMicrosoft製品との親和性が高く、GCPはAIやビッグデータ分野での優位性があります。

Docker

コンテナベースのアプリケーション運用を可能にするDockerは、開発環境と本番環境の統一を実現し、移植性を向上させます。インフラエンジニアとして、Dockerを用いた軽量コンテナの作成や管理スキルは、効率的なデプロイや運用に欠かせません。

Kubernetes

Kubernetesは、コンテナのオーケストレーションを可能にする標準的なプラットフォームで、大規模なコンテナ化アプリケーションの運用を効率化します。スケーリングや負荷分散、自動復旧などの機能により、インフラエンジニアは信頼性の高いシステム運用を実現できます。

Terraform

インフラ構成管理を自動化するTerraformは、マルチクラウド環境の統一管理を可能にします。IaC(Infrastructure as Code)の代表的なツールであり、手動作業を削減し、再現性の高いインフラ構築が可能になります。

Ansible

Ansibleは、構成管理やプロビジョニングを効率化するエージェントレスのツールです。シンプルなYAMLファイルで構成を記述できるため、インフラエンジニアにとってはわかりやすく、幅広いシステムへの適用が可能です。

Zabbix

システム監視とアラート通知を提供するZabbixは、視覚的なインターフェースと豊富な機能で、システムの安定稼働を支援します。Nagiosの代替として多くの企業で採用されており、リソース使用率や稼働状況をリアルタイムで把握可能です。

DevOps

DevOpsは、開発(Development)と運用(Operations)の連携を強化するための文化とプラクティスを指します。インフラエンジニアとしては、CI/CD(継続的インテグレーション・継続的デリバリー)やIaCのスキルが求められ、効率的なシステム運用をサポートします。

代表的な資格7選

AWS Certified Solutions Architect

AWS環境でのクラウドアーキテクチャ設計スキルを証明する資格です。AssociateとProfessionalの2ランクがあり、中堅エンジニアにはAssociate、Professionalはさらに高度なスキルを証明します。また初級資格では、「AWS Certified Solutions Architect」があります。

Microsoft Certified: Azure Administrator Associate

Azure環境での仮想マシンやリソース管理スキルを証明する資格で、管理者向けの中核資格です。同シリーズの上位資格には「Azure Solutions Architect Expert」があります。
また次の目指す資格のひとつとして「Windows Server Hybrid Administrator Associate (AZ-801)」というオンプレミスとのハイブリッド環境に特化した資格があります。

Google Cloud Professional Cloud Architect

GCPのクラウドアーキテクチャ設計と運用スキルを証明する資格で、GCP資格体系の中で上位に位置し、特に中堅エンジニア以上を対象としています。

Certified Kubernetes Administrator (CKA)

Kubernetesを活用したコンテナ運用スキルを証明する資格で、クラウドやオンプレ環境でのコンテナオーケストレーションを効率化するために必要なスキルをカバーします。

Linux技術者認定資格(LinuC)

LinuCは、日本市場向けに特化したLinux技術者認定資格で、インフラエンジニアに必要なLinuxスキルを証明します。最近ではクラウド主体の企業が多いですが、エンタープライズ領域では、今でもLinuxがよく使用されています。エンタープライズでの仕事をするインフラエンジニアにとって必須資格の1つと言えるでしょう。
試験は3つのレベルに分かれており、レベル1(初心者)は基本的なLinux操作やユーザー管理を対象。レベル2(中級)ではサーバー管理やネットワーク運用などを評価します。レベル3(上級)は仮想化やセキュリティ、クラウド運用を扱う上級資格で、専門性が高い内容です。

ITIL Foundation

ITサービス管理プロセスの理解を深める資格で、サーバー運用やサービス提供の効率化に役立ちます。ITIL資格には上位ランクもありますが、まずはFoundationの取得が推奨されます。

情報処理安全確保支援士試験 (RISS)

日本国内で認知度の高い国家資格で、システムセキュリティ全般に関する知識とスキルを証明します。クラウドおよびオンプレ環境でのセキュリティ要件対応能力を強化します。
またクラウドセキュリティの高難易度資格として、「CCSP (Certified Cloud Security Professional)」もあります。


トレンドと未来の展望

新技術の影響と業界への適応

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングは、データ処理をクラウドからデータ発生地点の近くで行うことで、リアルタイムの応答性を向上させる技術です。これにより、インフラ領域ではデータセンターの集中負荷を軽減し、分散型インフラの構築が加速します。例えば、自動運転車やスマートファクトリーでは、ミリ秒単位の低遅延が求められ、エッジコンピューティングによって即時のデータ処理が可能になります。さらに、エッジデバイスとクラウドの連携により、リアルタイム処理と大規模分析の両立が可能となり、効率的で柔軟なインフラ運用を実現します。この技術は、分散型ネットワークの普及を加速させ、ITインフラの新たな形を創出するでしょう。

ゼロトラストセキュリティ

ゼロトラストセキュリティは、サーバー領域においてアクセス管理、通信暗号化、アイデンティティ管理を強化します。すべてのアクセスリクエストを検証し、最小権限で動的に制御することで、不正アクセスやデータ漏洩リスクを低減します。また、サーバー間通信も暗号化し、内部トラフィックの安全性を確保します。リアルタイム監視とログ管理により異常検知が可能となり、オンプレミスやクラウドを含むハイブリッド環境で一貫したセキュリティポリシーを適用します。これにより、インフラ全体の堅牢性と運用効率が向上します。

AIと自動化

AIと自動化技術は、インフラ運用において劇的な効率向上をもたらしています。インフラの監視や障害対応では、AIがログ分析や異常検知を自動化し、システム管理者の負担を軽減します。例えば、クラウド環境ではAIがリソース使用状況をリアルタイムで分析し、最適なスケール調整を自動的に実施することで、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。また、データセンターの運用では、自動化されたプロビジョニング(リソースの準備と管理)により、サービス提供の迅速化と人的ミスの削減が実現します。これらの技術は、コスト削減だけでなく、インフラの信頼性と拡張性を高める鍵となっています。

まとめ

インフラ領域におけるオンプレ・クラウドの技術はIT基盤の設計・運用に欠かせない職種です。技術の進化とともに求められるスキルも高度化していますが、これに適応することで、企業の成長を支える重要な役割を果たすことができます。
クラウドサービスの登場により、技術発展が飛躍的に加速したことから、より速やかなキャッチアップと専門性が求められるようになりました。今後も、多様化して行くであろうサービス実現に向け、企業が必要とするエンジニア像を理解し、適切なスキルセットを磨くことが、成功への道となるでしょう。


ソシオネットでは、
仕事をお探しのフリーランスの方と、
PM・PMO、コンサル案件を中心としたマッチングサービスを運営しております。
もし仕事をお探されている方は、こちらもご覧いただければと思います。

最後までご拝読くださりありがとうございました。

◆ソシオネット株式会社について◆
ソシオネットでは、IT業界で働くフリーランスの方々向けの営業支援を行っております。
弊社ホームページより、お気軽にお問い合わせください。

ソシオネット株式会社 (@socionet_official)